Toshibon's Blog Returns

髪結いの亭主 物書きの妻

年の瀬の手術

 ここ10年来、12月のクリスマスのころは、理由(わけ)あって東京で過ごすのが恒例となってきた。ところが、今年は例年通りとはいかず、自宅にこもった年末を迎えている。というのも、先週手術をして退院してきたばかりだから。


4ヵ月ほど前にTUR-P(経尿道的前立腺切除術)による前立腺肥大の手術をしたのだが、予後がおもわしくない状態がずっと続いていた。先月、とうとう尿道が癒着して固まり、尿が全く出なくなってしまった。医師の説明によると、手術後に4~5%の割合で起こる「尿道狭窄」という合併症だという。癒着したのは術後の処置で尿道が傷つけられかなり出血した箇所で、私としては医師に不手際があったように思えるのだが…。


手術は癒着した尿道を切開し縫合するというもので、聞くだけだといかにも痛そうだが、腰椎麻酔(下半身だけに麻酔が効く)の下で行うので痛みは全く感じない。前回の前立腺切除と比べるとそんなに難しくない手術で、1時間ほどで終わるかなと思っていたら、切開した尿道の奥に新たな狭窄箇所が見つかり、思っていたよりずっと重症だったことが判明。結局、手術は2時間余りかかった。


4か月前の前立腺切除術そのものは成功したようで、それはそれでいいのだが、予後に合併症でこんな目にあうとは思ってもみなかった。前回の入院は生まれて初めての入院・手術ということで、こちらも心構えというか覚悟を決めて臨んだのだが、今回は想定外の手術だったので億劫な気持ちが先に立ち、気がすすまなかった。退院後もカテーテル(管)を挿入し導尿バックをぶらさげた格好なので、ますます気が滅入る。おまけに退院してきたら寒波襲来で、この時期には珍しい大雪。体調がまだ完全ではないので、雪かきは身にこたえる。これではとても東京なんかへ行ける状態ではない、といったところ。


今年はなんか、最後の最後までついていないというか、ぱっとしない年だったなあ。私の嫌いな民主党鳩山政権が誕生したせいかな(苦笑)。

旅で眠りたい

また下北に来ている。本格的な冬到来の前に、先月の取材で悪天候のため撮り残したところを再撮影しようと思って来たのだが…今日は朝から吹雪という最悪の天気。とことんついてない。


下北がらみでついてないといえば、下の記事に書いているように前回来たときにスピード違反で捕まったのだが、その後日談がひとつ。なんと、違反の罰金を納めに行った銀行の駐車場で車をぶつけられてしまったのだ!
駐車している私の車に全く後ろを見ないでバックしてきたのは、バックドアにスペアタイヤを装着しているでかい四駆。相手はタイヤがクッションになって無傷。私の車は前部が大破。こんなのあり?? 


なので、愛車(タウンエースノア)は今、修理工場。下北へは代車で来ている。悪いことは続くもの。慣れない代車で下北の雪道を走るのはやめとこう。これで事故ったら目もあてられない。悪天候がおさまるまで、ホテルで寝ていよう。


旅で寝るといえば、ずっと以前、『旅で眠りたい』というタイトルの本を読んだことがあった。
バックパッカーの著者によるアジアめぐりの旅の記録といった内容で、本のタイトルにつられて買ったのだが、読後感はいまひとつ。著者には失礼だがタイトルに本の内容が負けているのでは、と思った。


ほんとにこれまで旅で幾晩眠ってきたことだろう。旅で眠りたい…このことばは、長い旅への誘い。今も心の奥底に潜み、時々囁きかけてくる。究極の旅の眠りは、旅の途上で永遠の眠りにつくことだろうか。菅江真澄のように。

手術、その後

8月下旬に経尿道的前立腺切除術(TURP)による前立腺肥大症の切除手術をして8日間入院。退院してすでに10日経った。


手術は一応成功したようなのだけど、術後に後出血(削った傷口から出血する)や水中毒(血液中のナトリウム濃度が低下して起こるショック症状)などの合併症が起こり、結構しんどかった。退院してからも尿道狭窄(尿道の出口が狭くなり尿が出にくくなる)の処置で尿道が傷つけられ、今も出血が続いている。いまだに夜中に1~2時間おきにオシッコするため起きるのもつらい。


もちろん個人差はあるのだろうけど、私の場合に限っては手術そのものより、予後が思っていたより大変だなあ、というのが偽らざる心境。もしかすると病院の選択を間違ったのかもしれない…。とはいっても、初めての手術・入院はとてもいい経験になった。少なくとも今後生きていくうえで確実にプラスとなる体験だった。


今年の夏は一度も海に入らず、ビールも一滴も飲まなかった。'09年の夏はまるでなかったかのようだなぁ。手術を終えて気が付いたらもう季節は秋。それでも体調は完全とはいかないまでも日常生活に支障をきたすほどではなく、たまっている仕事も再開しつつある。養生しながらボチボチとやっていこうかと。このブログも月4回のアップを目標にさぼらず続けよう。手術前より健康で元気になるぞ!


ところで、前々回の尿閉体験の記事の最後に「手術のドキュメントをこのブログにアップする」と書いてしまったのだが、実際に手術・入院を経験すると、病院、医師、看護師、それぞれ固有名詞が登場するマジでリアルな話にならざるを得ず、余裕をもって客観的に書く…とはいかないことが判明。というわけで、手術の体験記のアップはナシにしたので、ご勘弁を。(まあ、誰も期待していなかっただろうけど)

I Get Around

去り行く夏を惜しみつつ、久しぶりに棚の奥で眠っていた「王様」の1996年発売のアルバム『浜っ子伝説』を聴いているところ。「王様」といっても、ロックに興味がないとご存じない方が多いかもしれない。おもに60年代~70年代のロックの名曲の数々を日本語直訳による歌詞でカバーした作品を発表しているミュージシャンで、その音楽スタイルは唯一無二といってもいいほどユニーク。


浜っ子とはビーチ・ボーイズ(BB5)のことで、BB5の往年のヒット曲全9曲がメドレーで演奏される。「Surfin’ USA」が「波乗り米国」、「Fun,Fun, Fun」が「たの たの たのしい」、「I Get Around」が「オイラはころがす」、「Surfer Girl」が「波乗り娘」といった具合で直訳歌詞の大炸裂。これがビーチ・ボーイズに細部まで似せた音づくり、完璧コピーのサウンドに乗せて歌われるのだから、私のような年季のはいったBB5フリークにはたまらない(笑)。圧巻は「Good Vibrations」=「いい振動」で、“いーっ、いーっ、いーっ、いっいー 振動~♪”ときた日にゃ、おかしくてもう椅子からころげ落ちそうになる。


このアルバム、ビーチボーイズのカバーソングの大御所?山下達郎がレコーディングに参加しているらしい。それと、ビーチ・ボーイズのファンで知られる村上春樹氏も愛聴しているとか。翻訳家でもある村上氏のことだから、「王様」の直訳センスに感心したのかも!?


※こんなのを見つけた。イタリアのビーチ・ボーイズのコピーバンド「The Sunny Boys(サニー・ボーイズ)」の「I Get Around」。なかなかよろしいのでは。
https://www.youtube.com/watch?v=0XovdhfU9g0

18年ぶりの西馬音内盆踊り

1991年(平成3年)以来、18年ぶりに見た西馬音内盆踊りは随分様変わりしていた。見物人の多さは予想の範囲内だったが、何より踊り子が多いのには驚いた。最終日の18日、盆踊りが佳境に入るころは数百人にもなり、しかもその半数が町外の人だというからさらに驚いた。平成8年に5万6千人だった観光客が平成15年には約3倍の16万人(羽後町の人口の約8倍)に膨れあがったというが、同時に踊り子の数も一気に増えたようだ。


伝統的な端縫や藍染の衣装ではなく、帯の色も異なる踊り子が混じっているのは違和感がある。編み笠の間から顔が見える人も…。踊り子によって踊りのレベル差がはっきりとわかるのも興ざめだ。以前と比べて全体的に彦三頭巾で踊る人は少なく、端縫衣装がやたら多いのだが、なかには着こなしがどうかと思われる人も見受けられる。そこいら辺の事情、問題点は「広報うご」の「特集 西馬音内盆踊りを考える」で述べられている通りだろうが、今後、こうした西馬音内盆踊りの大衆化?に関しては、何らかの方策が必要となるのではなかろうか。


とはいっても、踊り自体はやはり唯一無二のもので、魅了される。言葉に言い表せない魔力がある。踊りの性格や歴史を考えるなら会場はもっと暗くていいと思うのだが…。


●’09西馬音内盆踊り 踊り子七態●