Toshibon's Blog Returns

髪結いの亭主 物書きの妻

2018年10月のブログ記事

  • 希望と悲しみ

    身体から異物が消えて、忘れかけていた想いでが、匂いの記憶のように ふいにおとずれくる、朝……。 懐かしい友人「クヌルプ」が親しげに目の前に現れ、私を遠くへ誘う。 石畳の街路、窓のあかり、冬の旅。 どうしてこんなに悲しいのか。なのにささやかな希みが暖かく私を包み込む。 クヌルプ (新潮文庫) 新潮社... 続きをみる

  • いちじくの甘露煮

    庭にいちじく(無花果)の木がある。数年前に亡くなった私の母はとても気性の激しい人で、カラスが果実を食べるのに腹を立て、それならと(カラスに食べられるくらいならと)業者に頼んでいちじくの木を伐ってしまった。ところが、いちじくは生命力旺盛な木のようで、その根元から蘖(ひこばえ)が生え、前にも増して立派... 続きをみる

  • イタリアの湯治場つながり

    友人のブログに、最近買った本が列記されていて、その中にチェーホフ「可愛い女・犬を連れた奥さん」(岩波文庫)があった。また、20年ぶりに見たというアンドレイ・タルコフスキーの「ノスタルジア」(1983)の感想もアップされていた。 「犬を連れた奥さん」と「ノスタルジア」。このふたつ、作者がロシア人とい... 続きをみる