Toshibon's Blog Returns

髪結いの亭主 物書きの妻

岩木山麓 雪景の湯宿と乳穂ヶ滝

 ある雑誌に岩木山麓にある湯段温泉に関する記事を書くことになり、津軽の弘前に来ている。ホテルの窓の外は雪が降っている。今冬の津軽は豪雪で大変だったらしい。昨日、湯段温泉に行ったら、3月中旬だというのに積雪がまだ2メートル近くあって、一気に真冬に逆戻りしてしまった。


初めて湯段温泉を訪れたのは、もう20年近くも前になるだろうか。当時とたたずまいは変わらないが、湯治客がめっきり減って、4軒ある宿のうち、現在も宿泊客を受け入れているのは1軒だけ。その1軒も、泊まろうとしたら冬場ということで、宿泊を断られてしまった。それで、温泉の取材に来たというのに、弘前のホテルに泊まるというおかしなことに。でも、弘前は好きな街なので、それもまたよし。


湯段温泉「長兵衛旅館」と「清明館」(右)


「長兵衛旅館」のお風呂。お湯のよさは変わらない。現在は入浴のみ受け付けている。

雪の中に埋もれた湯段温泉神社(薬師神社)。


温泉がらみの仕事は本当に久しぶりだ。考えてみれば、今に至る物書き稼業に足を踏み入れたのは25年ほど前に温泉の案内本を出版したことがきっかけだった。だから、今回の久しぶりの温泉取材旅は、本業?に戻った感じがする。
 そんなtoshibonを祝福してくれたのか、湯段温泉に来たら、運良く雲が切れて青空がのぞき、岩木山が姿を現した。


「津軽に来て岩木山を眺めるたびに、”この山の前では悪いことはできないな”といった心持ちになる。昔の人はよく”おてんと様が見ているから”と言ったが、津軽ではいつも”岩木山が見ている”のである」(『東北の湯治場 湯めぐりの旅』より)


岩木山麓に来たついでに、4年ぶりに結氷したという西目屋村の乳穂ヶ滝(におがたき)にも行ってみた。ここは菅江真澄の西目屋紀行の取材などで数度訪れているが、結氷したのを見たのは初めて。津軽の今冬の厳しい寒さを象徴するような見事な氷柱だ。

 古来から氷結してツララ状になる滝の太さ、形状などで、その年の津軽地方の作物の豊凶を占ってきた。滝マニアだった菅江真澄は、この滝を3回も訪ねて3枚のスケッチを描き残している。


※参考:「菅江真澄と乳穂ヶ滝」(津軽ダム工事事務所ホームページ)
http://www.thr.mlit.go.jp/tugaru/chiiki/chiiki_person_sugae/sugae_repo01.html
(このHPの菅江真澄関連記事はtoshibonが作成した)