Toshibon's Blog Returns

髪結いの亭主 物書きの妻

On Some Faraway Beach

今年の桜は開花を宣言してから、なんと2日後に満開となった。これは当地気象台の観測史上最短という(1953年の観測開始以来)。


前日まで蕾だった自宅近くの桜の古木が、朝起きてみたら花盛りとなっていた。寒さにじっと耐えていた花の生命が一気に春の歓喜を爆発させたかの如く。夢を見ているようなこんな経験は初めてだ。


そこで「きまぐれに1曲」に、ブライアン・イーノが1974年に発表したアルバム「Here Come The Warm Jets」に収録されているこの曲を選んでみた。なぜかって?


横須賀市にあるホームページ制作スタジオ(「マジックトレイン」MTスタジオ)のブログ「MAGICTRAIN.biz」に、「On Some Faraway Beach」がとりあげられていて、この曲の歌詞が西行の有名な和歌、「願わくは花の下にて春死なむ そのきさらぎの望月のころ」を連想するとあったからだ。ここで言う花とはもちろん桜(正確にはヤマザクラ)のこと。


https://www.youtube.com/watch?v=K29t_L3CO6A
(動画の映像は硫黄島に上陸する米軍)


この曲の長い長いイントロのあとに歌われる詞は、次のようなものだ。(訳は「MAGICTRAIN.biz」より転載)


Given the Chance
I’ll Die Like a Baby
On Some Far Away Beach
When the Season’s Over.


叶うことなら
おさなごのように死にたい
どこか遠い渚で
季節が終わるとき


確かにこの歌詞には西行の「願わくは~」と同質の心情、和歌や俳句に通じる音数律と余韻、叙情性があるように思う。


この「遠い渚( Far Away Beach)」とは、桜の花の下にて死した魂が赴く彼岸であるのかもしれない…