Toshibon's Blog Returns

髪結いの亭主 物書きの妻

ますむらひろし展

2019年の初めに盛岡へやってきたのは、岩手県立美術館で1月3日から「ますむらひろし展―アタゴオルと北斎と賢治と―」が開催されるのを知ったからだ。
チラシには「本展では〈アタゴオル × 北斎シリーズ〉を中心に、宮沢賢治童話のシリーズなどますむらの緻密で独創的な作品世界を紹介。そのほか、マンガ原稿や創作ノート、作中の小道具の参考資料として使われた作家所蔵の鉱物や古道具などもあわせ、約200点が並ぶ」とあったが、200点どころか300点以上あると思われる展示物のボリューム感に圧倒される。1点、1点じっくり見ていると時間がどんどん過ぎて行く。どうしても好きなのは70年代の初期の作品かな。「霧にむせぶ夜」が懐かしい。
これだけ充実した内容で観覧料1000円(前売800円)は安すぎないか?!


近年の「アタゴオル×北斎」シリーズは初めてじっくり見たが、ちょっと微妙…
もともと『王様手帖』というパチンコの情報誌の表紙に描いたもので、これって、前回にこのブログに書いた大瀧詠一の曲作りにも相通ずるクリエイターの創作時の苦悶、締め切り間際のギリギリの格闘の中で一種の逃避から生れたような気も…… 結果としてますむらの絵(模写)より、ぐだぐだ言い訳じみた解説文のほうが面白く(興味深く)、葛飾北斎の絵のオリジナルとしての迫力、凄さをあらためて認識することとなった。



帰宅してから、登場人物をますむらひろしによる猫のキャラクターに置き換えた『銀河鉄道の夜』(1985年、監督:杉井ギサブロー)を見たくなり、久しぶりにビデオで再見した。やっぱり、これは傑作だ。日本(だけでなく世界)のアニメーション映画の極北に位置する稀有な作品だ。なぜ何度見ても同じ場面で泣いてしまうんだろう。

銀河鉄道の夜 [DVD]
銀河鉄道の夜 [DVD]
KADOKAWA / 角川書店
2014-05-30
DVD