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髪結いの亭主 物書きの妻

大沢温泉の金勢まつり

4月29日は、岩手県の奥花巻(花巻南温泉峡)にある大沢温泉で、名物の「金勢まつり」が行われる日だ。


大沢温泉の金勢神社は同じ岩手県玉山村にある巻堀神社の金勢大明神を分神したもので、ご神体は重さ150キロ、長さ1.4メートルもあるケヤキの一本造りの陽物。大きな袋(木塊)が付随しているのがまたリアル。
この金勢様は、以前は一年を通して大沢温泉から離れた大久保山の神社に安置され、祭りの日だけ温泉まで下山していたのだが、2年前に湯治客が参拝しやすいように温泉の敷地内にお堂が建てられ、冬期間だけここに納められるようになった。


この祭りのクライマックスは、大沢温泉名物の露天風呂に金勢様を入れて洗い清めるという「入浴の儀」。露天風呂にザンブと入って湯浴みする金勢様に、さらしに半纏姿の女性がお供する。
私が初めてこの祭りを見た15年ほど前は、大沢婦人部のおばさんたちがこの役目をしていたように思うのだが、昨年久しぶりに祭りを見たら、妙齢の女性数人が参加していた。聞けば良縁・子宝祈願のため、わざわざ県外からやって来たのだという。


巨大な金勢様にまたがって、どんぶらこっこと露天風呂をひとめぐりする様子は、ユーモラスではあるが、年若き女性ということもあってちょっとヒワイかな??


でも、この金勢様にまたがったおかげで、実際に子宝を授かったというおかあさんが入浴の儀に参加していて(写真左の袋を持っている人)、その子供(女の子)が誇らしげに紹介されていた。確かに霊験あらたかなのであろう…。


北東北の湯治場では、大沢温泉のほかにも金勢(金精)様を祀っているところは少なくない。岩手県湯田町の湯川温泉高繁旅館の金勢様は2メートルはあろうかという自然石。女性に人気のある秋田県田沢湖町の鶴の湯温泉にも、女性用露天風呂の片隅のお堂にこっそりと祀られているし、蒸の湯温泉(秋田県鹿角市)の館内にある金精神社には、今も大小の木製リンガが奉納されている。
土砂崩れでオンドル宿舎が倒壊する前の蒸の湯温泉では、子宝を願い安産を祈る女性たちによって金精祭りが盛大に行われ、熊の湯などの共同浴場には金精様がいつも何本か浮いていたものだった。