Toshibon's Blog Returns

髪結いの亭主 物書きの妻

『恋恋風塵』の台湾

 昨夜のBSで侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の『恋恋風塵』(1987)とアキ・カウリスマキの『カラマリ・ユニオン』(1985)が続けて放映された。小津安二郎映画特集に関連したラインアップなのだろう。2人とも自他ともに認める小津映画ファンだから。
『恋恋風塵』は日本に初めて紹介されたホウ・シャオシェンの映画だったと思う。公開は1989年で、この年は続けて公開された『童年往時』とともにキネマ旬報のベストテン入り、さらにこの後『悲情城市』がカンヌでグランプリをとり、ホウ・シャオシェンの名声が一気に高まった。
実際、このころの作品は固定カメラによる自然描写、人物造形がこれまで見たことのないような映画の時間と空間をフィルムに定着させていて、ほんとに素晴らしかった。ただ、近年の作品はほとんど見ていないのだが、あまり評判はよくないようだ。小津安二郎生誕100年を記念して日本で制作された『珈琲時光』も、あらすじを読むとなんだかあまり期待できないような…。
一昨年の無明舎出版の舎員旅行は台湾だった。私も旅行の一員に加えてもらえたので、これ幸いとばかり『恋恋風塵』と『悲情城市』のロケ地である九份(ジウフェン)を訪れた。九份の廃墟になった映画館には『恋恋風塵』の看板がまだかかっていて、そこで撮った記念写真↓は、私の大のお気に入りだ。

15年ぶりにTVで再見した『恋恋風塵』はやっぱりよかった。普通、何年もたって見直すと、忘れたり記憶違いしているシーンが必ずあり、印象も変化するものだが、初めてみた時とほとんど同じ質の感動を受けたことに驚いた。さらに、実際に映画の中の風景に身を置いてきたからだろうか、とても“懐かしい”映画となっていた。今は地下駅となった台北駅、台湾国鉄宣蘭線、何度も出てくる基隆山、九分の石段、常緑樹の濃い緑。押しつけがましさのない画面から立ちのぼる台湾の風景、亜熱帯の空気。映画を見て、また台湾に行きたくなってしまったなあ。


ネットで検索してみると、ホウ・シャオシェンの映画を見て台湾に行ったという人が結構いる。中にはロケ地を探して訪ね歩き、映画のカットと同じアングルの写真を撮っている人がいて、ここまでマニアックに徹するとホント、敬服するしかない。
http://www.gangm.net/taiwan/dustInTheWind/index.html

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