Toshibon's Blog Returns

髪結いの亭主 物書きの妻

哀愁の『JUNK HEAD』

遅ればせながら『JUNK HEAD』をようやく観た。このところ外で映画を観る機会から随分遠ざかっていて、新作映画の情報にも疎いのだが、さすがにこの映画には食指を動かされて久しぶりに映画館に足を運んだ。


本業が内装業の堀貴秀監督が、原案、絵コンテ、脚本、編集、撮影、演出、照明、アニメーター、デザイン、人形、セット、衣装、映像効果、音楽、声優をほぼひとりで担い、7年をかけて製作したというストップモーションアニメ。コマ撮りによる総ショット数が約14万コマという気の遠くなるような時間と労力、執念をかけて製作したというのが、信じ難く思う。



コマ撮りアニメ「Junk Head」のセットメイキング


地下世界の人工生命体マリガンのへんてこなキャラクター、クリーチャーがいっぱい出てきてグロい場面もあるのだが、一番怖かったのは筋肉強化女型マリガン(バルブ村の女衆/マルギータ)。強い女性に恐怖を感じるのは、toshibonが私生活で配偶者に虐げられているからだと、観終わって数日たってから、なんかジワジワと現実が映画の世界に侵されてしまった。


地下で可愛らしくも哀愁漂うサイボーグと化す主人公が、イノセントでとてもいいやつなんだ。もしかすると『不思議惑星キンザザ』が好きだというシャイな堀監督自身を投影したのかな? 地上での生活は寂しそうだった彼に、なんか感情移入してしまった。続編が製作されるみたいだけど(いつになるのか?)主人公はミッションをやり遂げて地上に帰れるのか、それとも‥‥


※堀貴秀監督インタビュー
孤高のクリエイター・堀貴秀が『JUNK HEAD』誕生秘話を語る - SCREEN ONLINE(スクリーンオンライン)