Toshibon's Blog Returns

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ジョシュ・ターナーの「風をあつめて」

ーAbout Josh Turner Guitar(ジョシュ・ターナー・ギターについて)ー
「ジョシュア・リー・ターナー(Joshua Lee Turner)は、ニューヨーク州ブルックリンに拠点を置くマルチインストゥルメンタリスト、シンガー、ソングライター、プロデューサーです。ジョシュはYouTubeチャンネルのジョシュ・ターナー・ギターで最もよく知られており、2007年に15歳でチャンネルを始めて以来、折衷的なカバーパフォーマンスとオリジナル音楽を投稿しています。ジョシュは現在、彼自身のオリジナル音楽をサポートし、長年のコラボレーターであるカーソン・マッキー(Carson McKee)とのユニット動画やとフォークデュオ「その他のお気に入り(The Other Favorites)」をサポートして国際的にツアーを行っています。2019年、ジョシュはオリジナル音楽の最初のフルレングス・アルバム『As Good a Place as Any』をリリースしました」
※YouTubeの゙Josh Turner Guitar゙チャンネル紹介文(英文をgoogl翻訳)より


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YouTubeでジョシュ・ターナー(Josh Turner)チャンネルを初めて見たのはいつだったろうか。はっきり覚えているのは、ビーチボーイズの「スループジョンB」のセッション動画だったような気がするけど、もっと前からYouTubeのレコメンド機能のおかげで、次々と出てくる彼の演奏を特別意識することなく見ていたような気がする。チャンネルにはロック、ジャズ、ブルース、ボサノバ、クラシカルと多彩なジャンルの曲をあげているのだけど、核となっているのはフォーク、カントリー、60年代から70年代にかけてのシンガーソングライターの系譜に連なる、私がもっとも親しんできた音楽。彼らが生まれるずっと前の古くて、おまけに渋い!曲のカバーが多い。どれもギターが凄くうまいんだけど、これ見よがしにテクニックを披露するというんじゃなくて、曲のよさを損なわずギターで引き出してあげるといった演奏。やさしい歌声とあいまって、音楽に対する敬意と真摯さが感じられて、好感度がもの凄く高い! そしてギターを押さえる指がとてもきれいだ!


チャンネルには、ジョシュひとりでの弾き語りや相棒のカーソン・マッキーとのデュオのほかに、他のアーティスト(特に女性)とのコラボ動画も多くたくさんあげている。パッと見はオタッキーなギター少年といった風で、あまり女性にモテそうに思えないのに、母性本能をくすぐる?流麗なギターテクニックのなせる業か、どれも息が合っていてなかなかいい感じ。なんか人を気持ちよくさせる、幸せにする音楽を奏でる人だと聞いていて思う。


そんな彼が、カーソン君と一緒にはっぴいえんど(細野晴臣+松本隆)の「風をあつめて」(1971)を歌っている。今、日本人の若いミュージシャンで、70年代初めの空気感というか、はっぴいえんど風味をこれだけ感じさせる人はいるだろうか?



風をあつめて (Gather the wind) - Happy End Cover


欧米人が「風をあつめて」を知るきっかけでもっとも多いと思われるのが、ソフィア・コッポラが監督した「ロスト・イン・トランスレーション」(2004)だろう。この映画のサウンドトラックとして「風をあつめて」が使われたからだ。だが、映画全体を支配するサウンドをヨーロッパテイストの楽曲でまとめたあの映画に「はっぴいえんど」はミスマッチ。アメリカ人の主人公にカラオケでロキシーミュージックの「モア・ザン・ディス(MoreThanThis)」を歌わせる厭らしくもスノッブな映画の演出スタイルと相容れない、居心地の悪さというか、齟齬が生じていたと感じたのは私だけだろうか。
この曲は、当時細野晴臣が傾倒していたバッファロー・スプリングフィールド、ジェイムス・テイラーなどの音楽を下敷きに創られている。ジョシュの「風をあつめて」がしっくりくるのは(彼らが今の日本人のミュージシャンとは違って)身体のなかにバッファロー・スプリングフィールドに代表される(それ以前も含めた)アメリカン・ミュージックの伝統と音楽的土壌がつまっているからで、いわば本歌取りをした「風をあつめて」にフィードバック(帰還)するかたちで馴染んでいるのは、当然のことなのかもしれない。それにしても、アメリカの若者が ♪緋色の帆を掲げた都市が~♫ なんて日本語で歌うなんて、『風街ろまん』を聞いた50年前には想像すらできなかったよなぁ~



ボブ・ディランの「ドント・シンク・トワイス(Don't Think Twice, It's All Right )」。彼らの両親もまだ生まれていないかもしれない1963年発表の曲を演奏(やる)なんて!
2011年というから9年前のこのころは18歳くらい? ギター少年といった感じで初々しい。



Don't Think Twice, It's Alright - Bob Dylan (The Other Favorites Cover)


ビートルズの「エリナリグビー(Eleanor Rigby)」。チャンネルにあげているビートルズのカバーのほとんどはポールの曲で、『ホワイトアルバム』の収録曲「マーサ・マイ・ディア(Martha My Dea)」もそう。しかし、選曲が渋すぎるぞ! バンジョーによるアレンジも絶品だ。ここでもいい味出しているカーソン・マッキーとは「The Other Favorites」名義でユニットを組んでコンサート活動をしていて、最近は女性2人を加えた4人編成でヨーロッパツアーもしている。



Eleanor Rigby



Martha My Dear


大好きなジョニ・ミッチェル、レナード・コーエンを女性ミュージシャンとのコラボで。なんかいい雰囲気でうらやましいぞW



All I Want - Joni Mitchell cover (Feat. Kami Maltz)



Hey That's No Way To Say Goodbye - Cover (Feat. Mary Spender)


バッファロースプリングフィールドの代表曲「For What It's Worth」をセッションで。

For What It's Worth - Buffalo Springfield Cover


今年リリースした2枚目のオリジナルアルバム『Public Life』の公式。少年から青年へ。大人になったジョシュの等身大の音楽が聞ける。


「風をあつめて」を歌ったことで、日本でもジョシュ・ターナーファンが増えただろうからいつの日か来日コンサートも夢ではない? 今はまだ一部の人にしか知られていないマイナーミュージシャンかもしれないけれど、これからもずっとフォローしていきたい人だ。