Toshibon's Blog Returns

髪結いの亭主 物書きの妻

菅江真澄in仙台

3日前から仙台に来ている。昨年の1回目に続き2回目となる「菅江真澄の足跡・写真コンテスト」入賞作品展の会場係員として。昨年の開催はようやく桜が咲き始めるころだったが、今年は5月末。街はもう初夏の装いで、ケヤキをはじめとする街路樹の緑が目にまぶしい。


考えてみれば、昨年の12月にも訪れて、ケヤキ並木を数十万個のイルミネーションで彩る「SENDAI光のページェント」を見ている。結構、この街が好きなのかも。これで女性がもう少し○○○だったらね。仙台の街を高校生も含めて秋田の女性が歩いていたらいいのになあ。おっと、これはあくまでtoshibonの偏見というか、個人的な見解であることをお断りしておきます。


 
「写真コンテスト」作品展は30日(土)までの開催。会場は東北電力グリーンプラザ(電力ビル)で、ここは人通りの多い繁華街のど真ん中にあるため、集客力は抜群。入場者は毎日500人以上を数える(写真コンテスト以外にも複数の展示イベントなどが行われている)。ただし、仙台では菅江真澄の知名度は本当に低い。真澄は仙台まで来ているのだが、肝心の著作が残っていないので、郷土を記録した身近な人物とはなり得ず、一般にはほとんど認知されていないのが現状だ。
書名だけが知られる未発見本―「月の松島」「雪の松島」「花の松島」のいわゆる“雪月花の松島三部作”―が発見されたら世紀の大ニュース! 一気にメジャーになるんだろうけど…、これはユメですね。


ホテルの部屋から東北楽天ゴールデンイーグルスのホーム球場となっている「クリネックススタジアム宮城」が見える。このあたり一帯は菅江真澄も訪れた歌枕の地、宮城野で、かつて(1970年代)ロッテが仙台を準フランチャイズにしていたころの球場名も宮城野球場だったはず。右に見えるこんもりとした緑の森は、国分寺としてはもっとも北方にあったという陸奥国分寺跡。


陸奥国分寺跡にある薬師堂(国指定重要文化財)。大昔、私の友人が同人誌にこの薬師堂の近くに住んでいたこと書いていた。今、その同人誌が手元にないのでうろ覚えなのだが、確か当時大流星雨の出現が予想されたジャコビニ流星群にからめてのエッセイだったと思う(ユーミンも歌にしている)。もう35年も前に読んだ文章なのに、なぜ今ごろ思い出したんだろう。薬師堂の狛犬。記憶とは不思議なもので、初めて訪ねたのに、なぜか薬師堂周辺が懐かしい場所のように思えてならなかった。


これは狛犬ならぬ、三瀧山不動院に安置されている「仙台四郎」像。電力ビルのすぐ近くのクリスロード商店街の中にあるので、お昼休みにお参りしてきた。仙台四郎は江戸時代末から明治にかけて仙台に実在した人物。彼が立ち寄る店は必ず商売繁盛したことから福の神と呼ばれるようになった。


現在では仙台以外の宮城県各地、県外まで仙台四郎信仰?が広まり、秋田市の飲食店でも仙台四郎グッズを見たことがある。この写真(赤矢印)は鳴子温泉の滝の湯共同浴場近くにある居酒屋「なんでもや」に飾ってあったもの。


仙台に来ると吸い寄せられるように勾当台公園に立ち寄ってしまう。若いころの体験がトラウマになっているのかな(その理由はこちら)。これは公園内に立つ男女の彫像「季の杜に」(一色邦彦作) 。


男性の彫像の背後にまわると形のよいお尻が! さすがtoshibonゆかりの勾当台公園だけのことはある?! 作者の方、下ネタに使ってすみません!


夜、飯を食べようとホテルの近くをうろついていたら、店名がコクトー(cocteau)というよさげな店を発見。板張りの階段をのぼった2階に、テーブル席だけのなんとも落ち着ける空間があった。飲むつもりはなかったがつい白ワインを注文。


置いてある本の背表紙を見たら、村上春樹の『辺境・近境』が。これは村上氏には珍しい紀行文集で、私には(生意気にも)あまりいい出来とは思えなかったのだが、この本を私にプレゼントしてくれたのが、かつて薬師堂の近くに住んでいた友人であった。


そういえば、村上氏のやっていたジャズ喫茶の名が「ピーター(キャット)」で、仙台国分町にある老舗ロック喫茶が「ピーター(パン)」で、その「ピーターパン」にくだんの友人と行ったことがあって…。ああ、歳をとると、記憶というのは際限がなくなるものなのか…。