Toshibon's Blog Returns

髪結いの亭主 物書きの妻

きまぐれに1曲⑭ 駒沢あたりで

晩秋の季節に聴くと心に染み入る曲を。
「駒沢あたりで」https://www.youtube.com/watch?v=91ne59Fz_Yo


加川良(1947 – 2017)の通算6枚目のアルバム『駒沢あたりで』(オリジナルは1978年発売)の収録曲で、バックをつとめるのはレイジー・ヒップ。アルバムの全8曲のうち、この曲だけ加川良ではなく菊田修一の作詞・作曲とクレジットされているのだが、ネットで検索してもほとんど情報が出てこないので、どんな人なのかよくわからない。だが、曲・詞ともこのアルバムの標題曲にふさわしい名曲だと思う。


歌詞の内容は東京世田谷区駒沢公園あたりでの晩秋のスケッチだ。読むと何の変哲のない情景描写のように思えるのだが、ことばを引き延ばして歌う加川良独特の歌声とレイジー・ヒップのギターサウンドが一体になると、その情景がとても身近で親しいものとしてありありと目に浮かんでくる。と同時にそれを見ている“私”(作者)の心象風景がそこに重なる。


♪…風が落とした落ち葉をふんで
失くした心のかけらを探しに
駒沢あたりを雨に打たれて
濡れた空の下乾いた心を
見つかるといいね きっときっと
やりきれない夜を迎える前に…♪


秋から冬に変わる今の季節にこの歌を聴くと、「失くした心のかけら」を探して「やりきれない夜」を彷徨っていたのかもしれない、あのころに連れ戻される。


駒沢あたりで '78年度作品 (紙ジャケット仕様)
駒沢あたりで '78年度作品 (紙ジャケット仕様)
グリーンウッド・レコーズ
2009-08-29
ミュージック