Toshibon's Blog Returns

髪結いの亭主 物書きの妻

奈良井宿を歩く

前にこのブログで紹介したRambalac(ラムバラック)さんのYouTubeチャンネルに、奈良井宿(長野県塩尻市)がアップロードされていた。ちょうど1年前、私も同じ季節に同じコース(下町から上町まで)でこの宿場町を歩いたので、再びその場に舞い戻ったような心持になった。


奈良井宿は江戸時代の5街道のひとつ中山道のほぼ中間、江戸から数えて34番目の宿場町であった。南に鳥居峠という難所を控え、峠越えに備えた旅人の逗留が多かったことから旅籠が建ち並び、木曽路ではもっとも栄えた宿場であったという。今も街道沿い約1キロに渡って往時の面影を残す家並が続き、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。


私が訪れたのは12月初めの平日の午後。観光シーズンを外れたためか、通りには人影がなく、ここの住人にもほとんど会わなかった。まるで時が止まったかのような、別の時代にタイムスリップしたかのような、超現実的な時間と空間に身を置いた。


通りを歩いていると、各家の玄関の上に掲げられた屋号の木札が目に付いた。武士以外は苗字を名乗る制限がなされていたため、出身地や職業などに拠った屋号を付けるようになったといわれるが、街道沿いや近場だけでなく、山形、会津など遠く離れた地名もある
のが興味深かった。


復元された江戸時代の高札場のある町並が途切れるあたりで、鳥居峠から下ってきたかと思しき外国人男女のトレッカーに出会った。中山道トレイルをする欧米の訪日旅行者も珍しくはないようだ。この日は不思議なことに、この2人以外に観光客にはまったく出会わなかった。