Toshibon's Blog Returns

髪結いの亭主 物書きの妻

きまぐれに1曲⑬ ハーヴェスト・ムーン

退院してからしばらく静養していたが、体力回復のために数日前から日が落ちて涼しくなってからウォーキングを始めた。その際、ICレコーダーで音楽を聞きながら歩くのだが、歩行のリズムとマッチした曲が鳴ると、自然と歩くのがとても楽しくなる。レコーダーに入れていた曲のなかで、歩行と曲のリズムが一番ぴったり合ったのが、この「ハーヴェスト・ムーン」。ニール・ヤングが1992年にリリースした同名タイトルのアルバム「Harvest Moon」の収録曲だ。これをエンドレスで流しながら歩いていると、いつまでもどこまでも歩いていけそうな気がしてくる。

Neil Young - Harvest Moon


1970年代の初め、ニール・ヤングの初期の傑作とされる「アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ」(1970)、そして「ハーヴェスト」(1972)をよく聞いていた(おまけにニール・ヤングにあやかってチェックのシャツをよく着ていたw)。なので、彼の声を聞くと、当時の自分の周りの風景や人や街の匂いが一瞬にして甦る。この「ハーヴェスト・ムーン」はアルバム「ハーヴェスト」と関連づけられもするが、ゆったりしたサウンドと滋味あふれる穏やかな声は、歌詞(↓)の内容と相まって20年の時を経た円熟味を感じさせる。


Because I’m still in love with you
I want to see you dance again
Because I’m still in love with you
On this harvest moon


「ハーヴェスト・ムーン」とは「収穫月(満月)」。つまり日本で言う「中秋の名月」にあたるのだろう。実りの秋にかけて円熟期を迎えた男女を歌った何の変哲もないラブソング。ありふれたコード進行と反復メロディーの繰り返し。なのに不思議と心が満たされる実に豊かな音楽。ニール・ヤングの変わらぬ声、そしてシンプルなハーモニカの音色が、病み上がりの心と身体を癒してくれる。