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髪結いの亭主 物書きの妻

東京日記 「紫陽花日記⑥」 多摩のアジサイ寺

術後の妻は目立ったトラブルもなく、きわめて順調。月曜日に入院して火曜日に手術、翌日はもう歩いた。初めは腹腔鏡を挿入するために開けたお腹の傷が痛むので、前屈みで歩いていたが、翌々日には背中を伸ばして歩けるようになり、食事もお粥から普通の米飯になった。


妻は怠け者の私と違って働き者。じっとしているより身体を動かしているほうが好きなので、入院生活は退屈な様子。腹腔鏡下での胆嚢摘出術は個人差にもよるが、何事もなければ術後だいたい4~5日で退院できるらしい。ということで、退院は土曜日に決まった。
こうなれば、心配はもう無用。お昼に病院に顔を出したあと、特にすることもないので、東京都下では随一という紫陽花の名所、多摩の高幡不動尊(日野市)へ行くことにした。


順天堂大学病院のある御茶ノ水から中央線で立川に出て、多摩都市モノレール線に乗り換える。公共の乗り物ならなんでも好きだが、モノレールが一番好きかもしれない。なかでも多摩モノレールは、井上直久の「イバラード」に登場する空に浮かぶ高速鉄道「ジーマ」を髣髴させるので、なおさらだ。


高幡不動駅を降り、門前の商店街を通って仁王門をくぐり、1335年(康永元年)建立という不動堂にまず参拝。本尊の丈六不動明王像は、ここではなく裏の奥殿に安置されていて、観覧時間を過ぎていたため見られなかった。奥に見える五重塔は、近年建てられたものという。


総本堂の大日堂の山門前に咲くガクアジサイ。高幡不動尊の寺号は高幡山明王院金剛寺といい、広大な境内のいたるところで様々な種類のアジサイが咲き競っている。


アジサイは野生種、園芸種を含めて約50種もの品種があるといわれる。とても覚えきれない。これはクロヒメアジサイというヤマアジサイの一種。その名の通り一般的には濃い紺色が多いようだが、これは赤紫。アジサイの花の色は、土壌酸度で変化するというから、そのためなのかな?


大日堂のそばに咲いていたスミダノハナビ(隅田の花火)。名の由来は、中心の両性花のまわりの八重咲きの装飾花が、開いた花火のように見えるかららしい。よく知られているように、装飾花は花弁ではなく、ガク(萼)である。


境内の南側一帯は多摩丘陵の一角をなす不動ヶ丘(高幡山)が広がる。ここも金剛寺の寺域で、丘陵斜面一帯にヤマアジサイ、ガクアジサイ、ホンアジサイなど自生、植栽を含め約7500株のアジサイが咲く。散策路を歩くと、まさにアジサイの森をめぐる思いがする。


アジサイといってまず思い浮かべるのは、やっぱりホンアジサイか。こうしたてまり型のアジサイは、ガクアジサイの両性花がすべて装飾花に変化したものという。


はじめ幻のアジサイといわれた「七段花」かと思ったが、どうも八重咲きのガクアジサイの一種のようだ。でも、きれい。


散策路がそのまま、四国八十八ヶ所を模した山内八十八ヶ所の巡拝路になっている。石仏がアジサイに埋もれていた。


ところどころに野生のヤマアジサイが群落をつくっていて、その可憐さに目を奪われる。


これは「紅(くれない)」というヤマアジサイ。初めは白色だが、真紅の赤に変わって花を終えるという。


アジサイの森に迷い込んだみたいに散策路をめぐっているうち、気が付いたら日が暮れかかっていた。アジサイ寺といえば、鎌倉の明月院が有名だが、金剛寺(高幡不動尊)こそアジサイ寺の名にふさわしい。すっかり満足し「花と小父さん」と化したtoshibonは、再び大好きな多摩モノレールの乗客となるのであった…。(続く)


※高幡不動尊金剛寺 
http://www.takahatafudoson.or.jp/index.html



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