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髪結いの亭主 物書きの妻

東京日記 自然教育園から日比谷公園へ

新緑の木々の中を歩きたくて、白金にある国立科学博物館付属の植物園「自然教育園」へ行ってみた。


面積は約6万坪(20ha)。中世の豪族の館からはじまり、江戸時代には高松藩主松平頼重の下屋敷となり、明治の陸・海軍の火薬庫を経て、大正時代には白金御料地となった。この間一般の人びとは中に立ち入ることができなかったため、武蔵野の雑木林や湿地などの自然がそのまま残された。


 
松平讃岐守の屋敷跡の面影を残す「大蛇(おろち)の松


ところで、私が「自然教育園」を訪れた数日後、NHK教育TVで『細野晴臣 音楽の軌跡』と題した番組が放映された。番組の冒頭、細野氏はナレーターをつとめる原田知世と一緒に「自然教育園」に行く。細野氏は白金生まれだそうで、子どものころの入園料は30円だった、などと話しながら園内に入ったところで地震に遭う。そう、ロケをした日は3月11日。番組はその震災の日からの2か月の心の動きを、細野氏の音楽の軌跡とからめて追ったものだった。番組の内容もさることながら、細野氏と原田知世が「自然教育園」で地震に遭遇した場所に、数日前私もいたということが、なんだか不思議に思えた。


細野氏の音楽は「好き」というより「親しい」といったほうが当たっているかもしれない。はっぴいえんどの「風をあつめて」、荒井由実のファースト・セカンド、「終わりの季節」の喪失感、ソロアルバム「はらいそ」、「銀河鉄道の夜」のサウンドトラック…。どれも心にしみいる音楽だ(ただし、YMOは除く)。
 
「自然教育園」のある白金から東急の路線バスに乗って日比谷公園へ。
運よくミュンヘンで開催される世界最大のビールの祭典を再現した「日比谷オクトーバーフェスト 2011」が噴水広場で開かれていたので、本場ドイツのビールを堪能する。


 
場所を移して園内の野外レストラン「日比谷茶廊」で今度は大好きなアイリッシュビール。


 
レストランの前に2本のタブノキが立っていた。タブノキは神霊の宿る木。私を護ってくれる樹木。3月の地震からこの数か月、ざわつき、淀んでいた心が、スーッとどこかへ消えて行った。