Toshibon's Blog Returns

髪結いの亭主 物書きの妻

山中湖の旅

2週間ほど前、山中湖(山梨県)に行ってきた。妻の友人2人が、私を彼女たちが常宿にしているという山中湖畔のペンションに招待してくれたのだ。
山中湖を訪れたのは、学生時代に富士五湖をめぐり歩いて以来30数年ぶり。宿泊した「ペンション・モーツァルト」は、標高約1000mの新緑の森の中にあった。


オーナーのNさんはスピリチュアルな雰囲気を持つ芸術家肌の人。私たちが館内に入り、リビングルームに腰を落ち着けるなり、アクアダイビングと天体の話をし始めた。泊まり客が集うサロンともいえるリビングには、オーナーの精神世界を反映した様々なオブジェ、コレクションが所狭しとおかれている。1万冊の蔵書、4000枚のレコード、2000本の映画、壁にはムンクの素描、Nさん自身が撮影した天体写真、圧巻はびっしり並べられた熱帯魚の水槽…


Nさんはモーツァルトのホームページに、「東はガラパゴスから西はセイシェルまで赤道直下の海はほとんど潜って制覇してしまいました」「本能的に水に惹かれる。水の中に住むわけにもいかないので、せめて水の近くにということで、ペンションも湖畔に建てました」と書いている。そのことばからもうかがえるように、熱帯魚の飼育は趣味の範疇を逸脱しており、ペンションそのものが深海にたゆたう究極の“水オタクの館”のように私には思えた。


ペンション・モーツァルトのリビングルームには、LP・LDがうず高く積み上げられている一角がある。その一番上に“水の映画作家”A・タルコフスキーの『ノスタルジア』があった。私がF・トリュフォーの作品中2番目に好きな『ピアニストを撃て』も。オーナーと私の映画の趣味は似ている?

山中湖村立三島由紀夫記念館前の満開のズミの花。山中湖畔にはズミの木が多い。5月下旬~6月上旬にかけて白い花が咲く。


富士山五合目須走口から小富士(1906m)へと続く樹海の中を歩いた。