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髪結いの亭主 物書きの妻

続・東京日記 大国魂神社のからす団扇

今から44年前、1976年の初夏から冬にかけて東京都下、府中(武蔵府中)に住んだ。甲州街道と京王線に交差して大国魂(おおくにたま)神社まで続くケヤキ並木(馬場大門のケヤキ並木として国指定天然記念物)を見て、いっぺんでこの町が好きになり、神社のすぐ東側にアパートを探しあて、窓からケヤキの杜が見える部屋を借りたのだった。


7月20日のすもも祭りには、神社の参道の両側いっぱいに悪鬼を祓うといわれるスモモを売る店が並んだ。そこで年に1度だけこの日に頒布される烏団扇(からすうちわ)を買い求めたのを今でもよく覚えている。飛ぶカラスを描いた黒い団扇。この団扇であおぐと農作物の病害虫が除かれ、病気も治るという。玄関先に飾ると魔を祓うというので、今もその時の烏団扇を飾っている。

    


京王線府中駅から大国魂神社まで、私が住んでいた後に植栽されたまだ若いケヤキに沿って歩いて行く。ケヤキ並木が旧甲州街道と交差して途切れると、大国魂神社の御影石の大きな鳥居が見えてくる。


鳥居(大国魂神社側)からケヤキ並木(府中駅方面)を望む。道路に面して立つ2本の大きなケヤキのうち、西側(左側)のケヤキは幹周り6.8m、推定樹齢400年の老巨木。樹勢が衰え主幹の一部が枯れているが、まだまだ生きながらえてほしい。


長い参道を歩いて隋神門の前まで来たら、大きなからす団扇と「疫病退散」という文字が目に飛び込んできた。ああ、本当に新型コロナウィルスをこの団扇で退散させてもらいたいものだ! 今年は感染防止対策として、混雑緩和のため20日のすもも祭りだけでなく、18日、19日も団扇を頒布するようだ。


大国魂神社拝殿


大国魂神社は武蔵国の総社とされ、武蔵国の一ノ宮から六ノ宮までを合わせ祀ることから、「六所宮」とも称される。「総社六所宮」の扁額がかかる拝殿内にも、からす団扇が掲げられていた。