Toshibon's Blog Returns

髪結いの亭主 物書きの妻

「The Hours」とアイルランド


アイルランド8日目の朝。フィッツィモンズ・ホテルを6時半に出て、ダブリン空港へ。レンタカーを返し、出国手続きを済ませたあと空港内のカフェでサンドウィッチの朝食をとり、ロンドン行きのBLMでアイルランドを飛び立つ。


ヒースロー空港は2度目ということもあって、スムースにターミナル1からターミナル3へ移動。13時発のヴァージン・アトランティック航空に乗る。機内はロンドン帰り(たぶん)の日本人で、ほぼ満席。隣の20代後半とおぼしき女性は、ワイン、ビールをごくごく飲んでいる。泌尿器系統に持病のある私は、トイレに何度も立つはめになるのが嫌なのでぐっとガマン。


座席のモニターの映画リストを見ると、最近封切られたアメリカ映画「ソラリス」(監督:S・ソダーバーグ)があった。英語版なのでセリフは全くわからないが、音楽と映像だけでこの映画全体を支配している静謐な哀しみだけは伝わってくる。タルコフスキーの「惑星ソラリス」とは比較できない別の映画。こちらのほうが原作により近いのでは。
行きの飛行機よりずっとリラックスしている自分に気がつく。これなら眠れそうだ。睡眠導入剤代わりに映画リストにあった「The Hours(邦題:めぐりあう時間たち)」をセットする。これも英語版。映像を見ることなく目をつぶったまま、フィリップ・グラスの映画音楽と一緒に言葉も音楽として聴く。


「The Hours」は無明舎出版のHPで舎長の安倍甲さんが絶賛していたので、それならばと映画館に足を運んで観た映画。近年観た映画の中では最も心を動かされた。この映画を難解だという人がいるのが不思議だ。テーマは普遍的なもの=死で、一見、救いのない内容だが、裏をかえせば生(生きることの意味)を誠実に描いている実にわかりやすい映画だと思う。


フィリップ・グラスのミニマル・ミュージック風映画音楽が頭の中でぐるぐる回る。回転と反復。これは何かに似てないか? そうだアイリッシュ・ミュージックのリールだ。そういえばアイルランドは円の国だったと思い至る。
ニューグレンジ古墳で見た先住民族の渦巻き模様、キャロウモア遺跡のストーン・サークル、ケルト人の輪廻転生の死生観、渦巻きと螺旋模様のケルティック・アート、円形の十字架(ハイクロス)、ラウンド・アバウト(円形交差点)、そしてぐるぐると回りながら踊るダンス…。古代から現代まで円のようにめぐり連なるThe Hours(=時の女神たち)が、あの国を導いている…。


※Toshibon's Blog Retuurns「ミレイ展」

めぐりあう時間たち―三人のダロウェイ夫人
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集英社
めぐりあう時間たち  オリジナル・サウンドトラック <OST1000>
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ワーナーミュージック・ジャパン
2014-07-09
ミュージック



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