Toshibon's Blog Returns

髪結いの亭主 物書きの妻

EACH TIMEとSHO TIME

大瀧詠一は野球が好きな人であった。長嶋ファンだったようだが、MLBもよく見ていたようで、NHKBSで中継していたマリナーズ時代のイチローの全試合を録画していたとか…。そんなコアな野球ファンだった大瀧に、野球を題材にした「恋のナックルボール」という曲がある。1984年にリリースしたアルバム『EACH TIME』(イーチ・タイム)の収録曲で、作詞は松本隆であるが、ほぼ大瀧の発想でつくられたものだろう。


ナックルボール(knuckleball)は無回転で不規則に揺れながら落ちる変化球だが、私がTVなどでリアルタイムで見たナックルボーラーは、ボストン・レッドソックスで活躍したティム・ウェイクフィールド 、日本では前田幸長くらいだろうか。その前田投手が巨人に在籍していた時の登板シーンの登場曲として、「恋のナックルボール」が使われたことあがった。凝り性の大瀧らしく、登場曲用として短縮版で歌詞も変えた「前田幸長バージョン」のジャケットのクレジットには、(歌)ニークロ大滝、Produced by YUKO NOHJI とある。ニークロという変名は、70年代から80年代にかけて活躍したMLBを代表するナックルボーラー、フィルとジョーのニークロ兄弟へのリスペクトによるものだろう。YUKO NOHJI とは、この曲を巨人の担当者に推薦した音楽評論家の能地祐子さんである。



ところで、大瀧は中学校の部活で野球をやっていたというが、実はtoshibonも中学では野球部に入っていた。僻村の小さな中学校だったので、男の子が入る運動部といえば野球部くらいしかなかった。2年生の時に秋季地区大会に備えた夏合宿で、左腕を折る怪我をして退部したので、レギュラーにもなれないヘタッピで終わってしまったけど、少しでも(チームでの)野球経験があるおかげで野球というスポーツがどんなものかは、知っているつもりだ。
そんな私が今一番にハマっているものは、ズバリ「大谷翔平」。毎日、YouTubeにあげられる彼の活躍に一喜一憂。一人の野球選手(スポーツ選手)にこんなに入れ込んだのは、後にも先にもなく、その一挙手一投足に心が洗われたり、浄化されるような思いでいる。


英語で「見せ場」を意味するShowtimeと大谷の名前を掛け合わせた「SHO TIME」は、大谷のニックネームとして定着しているようだ。エンゼルスの球団公式マガジンでは「SHO TIME」のタイトルとともに、登板中の大谷の写真を掲載している(公式サイトでダウンロード可能)。


「SHO TIME」のショーは翔であるように、大瀧のアルバムタイトル『EACH TIME』のイーチは、自分の名前エイイチ(詠一)を由来としているらしい。大瀧は岩手県南部の江刺市(現奥州市)、大谷は水沢市(現奥州市)の出身。同郷である。高校は大瀧が花巻北高校(後に釜石に転校)、大谷は花巻東高校。名前も大きな滝と大きな谷。地形的にも相性抜群?である。


野球が好きで、岩手での少年時代にはビーチ・ボーイズをはじめとしたエンゼルス(アナハイム)のあるアメリカ西海岸の音楽に多大な影響を受けた大瀧のことだから、生きていたらきっと私と同じように大谷の活躍に心躍らせ、アメリカンポップスへの愛を語るように大谷愛を語っていたに違いない。
(敬称は略しました)


※ちょっと暴走気味の愛情表現に引き気味なところがあるけど、大谷愛が伝わってきて爆笑ものの動画。それにしても、子供から大人まで男女を問わずアメリカ人にこれほど愛された日本人は、これまでいただろうか。



※「前田幸長のチョコチャンネル」より
toshibonはロッテファン(正確には大毎・東京時代のファン)だったので、前田投手がロッテに在籍していたころから好きな投手だった(後に中日ー巨人に移籍)。
前田投手のナックルボールは微妙に回転がかかって球速もあるので、正しくは「ナックルフォーク」とでも呼ぶべきものかもしれない。