Toshibon's Blog Returns

髪結いの亭主 物書きの妻

柱状節理の城ヶ崎海岸

このところの欝々とした日々から抜け出して、気まぐれに湯河原あたりをぶらぶらして温泉にでも浸かろうと、東海道線の電車に乗る。小田原あたりを過ぎたところで冬の日差しを浴びてきらきら輝く太平洋を見たら、急に気が変わって海のそばに行きたくなり、熱海で伊豆急行に乗り換えて伊豆高原駅へ。そこから20分ほど歩いて城ヶ崎海岸に出る。


〇伊豆半島ユネスコ世界ジオパーク  城ヶ崎自然研究路の案内板

伊豆半島は日本に8か所あるユネスコ世界ジオパークのひとつで、地質遺産の宝庫。城ヶ崎海岸はその中でも見どころが多く、およそ4000年前の大室山の噴火による溶岩が、海(相模灘)に流れ込んで形成された。流れるうちに固まりあるいは砕けた溶岩が海の浸食によってさらに削られて、小さな岬と入り江が連続したリアス式海岸のようなギザギザの海岸線となっている。地質年代としては極々最近の、伊豆半島では最も新しい地層だ。


〇大淀・小淀
海岸の断崖に沿って整備されている自然研究路から、大淀・小淀と呼ばれている磯(岩石海岸)に下りてみる。

海食台(棚)に五角形や六角形の柱状節理の断面が見られる。柱状節理は溶岩が冷えて収縮する時にできた柱状の割れ目(節理)。こうしてその断面の上に立つと、何だかわくわくする。


板状に重なった板状節理も見られる。


大淀。淀とは潮だまり(タイドプール)のこと。


〇対島川の滝
伊豆高原を下ってきた対島川の流れが直接海に落ちる。滝見の展望台があるあたりは柱状節理と岩相が異なり、溶岩が酸化して赤味を帯び、ザラザラした角礫状のクリンカーとなっている。


〇柱状節理の海食洞
大淀・小淀の北側も柱状節理が発達した迫力ある断崖が続く。よく見ると岩壁の柱状節理が一部崩落し、波が洗う洞門となっている。


〇橋立吊り橋
ひとくちに城ヶ崎海岸といっても、海岸線は南北に結構長く、北の冨戸港から南の八幡野港まで歩くと約9kmある。観光客は門脇灯台や門脇吊り橋のある北側に多く、大淀・小淀や橋立吊り橋のある南側は訪れる人は少ない。
がっちりした造りの門脇吊り橋(長さ48m、高さ23m)と比べて橋立吊り橋(長さ60m、高さ18m)は橋が長く渡るのに時間がかかるうえ、かなり揺れる。高所恐怖症気味の私にはこっちのほうがずっと怖い!


〇橋立の柱状節理
吊り橋を渡った先の磯浜に下りてみる。入り江の左右に、海に達した大室山溶岩流が造形した太くどっしりした岩の柱が連なる。折れた石柱の断面がこちらに迫ってくるようだ。波打ち際のあたりがわずかにカーブを描き、スカートのひだのように見える。

  


柱状節理の岩壁の下には、溶岩のかけらが波でもまれ円くなった大小の石が。大室山溶岩は以前は安山岩とされていたが、最近の地質図では玄武岩と解説されている。素人目には、玄武岩質安山岩といった感じに見える???


このあたりは有数のロッククライミング(絶壁の岩の割れ目を利用して登るクラッククライミング)スポットとして人気があり、この日も数人の女性クライマーの姿を見かけた。


※大淀・小淀付近の空撮動画