Toshibon's Blog Returns

髪結いの亭主 物書きの妻

きまぐれに1曲③ 4月になれば彼女は

いつの間にか春植物(Spring ephemeral)は咲き終わり、自宅の庭の椿の花がボタボタ落ち、今はソメイヨシノが散り初め。なんだか身体感覚が季節のスピード、植物の生長についていけず、春の輝きに置いてけぼりをくっているような不安定な心持ち。まあ、春になるとなんとなくダウナーな気分になるのは、例年のことではあるが。
ということで、もう4月も終わり。ベタではあるがサイモン&ガーファンクルの「4月になれば彼女は(April Come She Will)」を。


この曲を初めて聴いたのは、映画「卒業」(マイク・ニコルズ監督/1967)の挿入歌としてだった(この曲が映画のどの場面で歌われていたのかまでは、思い出せない)。この映画の全編にわたって流れていたS&Gの音楽に魅了され、すぐにサウンド・トラック盤LPを買った。歌詞を覚え、レコードに合わせよく歌った。コードを覚え、ひとりでも歌った。


2分に満たない短い曲、短い歌詞だが、メロディーは美しく、数え歌風の詩的な歌詞は、4月から9月まで月名ごとに韻を踏んでいる。
 April, come she will
 When streams are ripe and swelled with rain
May, she will stay
 Resting in my arms again
歌うと(朗読すると)わかるが、それがとても心地よく感じられる。それと、「April Come She Will」(文法的にはApril She Will Comeだが)を邦題で「4月になれば彼女は」としたのは、名訳だと思う。


サウンド・トラックのバージョンはアート・ガーファンクルが歌っているが、ポール・サイモンがひとりで弾き語りをしている「ポール・サイモン・ソングブック」のバージョンもある。この「ソングブック」もよく聴いた。このなかに収録されている「雨に負けぬ花(Flowers Never Bend with the Rainfall)」や「木の葉は緑(Leaves That Are Green)」も小品だが、「4月になれば彼女は」に負けず劣らずのいい曲だ。



Simon & Garfunkel - April Come She Will (from The Concert in Central Park)