Toshibon's Blog Returns

髪結いの亭主 物書きの妻

温泉宿の朝ご飯

岩手県湯田町の湯本温泉は、全国に数ある湯本(湯元)温泉の中では、知名度は低いほうかもしれない。旅館数は7軒。ちょっとした歓楽的な雰囲気もある温泉町だが、湯の町情緒を醸すほどではなく、かといって湯治場でもないため、温泉場としてはどこか中途半端なのは否めない。


先週、この町に住む友人と一杯やるため、一夜、温泉街のほぼ中央にある旅館山田屋に泊まった。ここに泊まるのは3度目。風呂は何の変哲もないタイル張り、お湯も集中管理の混合泉、温泉宿としてはこれといって特徴がないのだが、部屋は清潔で何より低料金なのがいい。最近は演出過多なこじゃれた“秘湯の宿”より、商人宿といった趣のある昔ながらの旅館のほうが落ち着ける。


こうした町場の旅館では、夕食は頼まずに外で飲食する(今回は友人と飲むために来たのだから当然だが)ので、1泊朝食付きの料金で泊まることが多い。温泉宿の夕食は食べる気がしないが、朝食は別だ。普段、朝はパンと紅茶とリンゴで済ませているので、たまに日本旅館で提供される朝ご飯をしっかり食べると、その日一日すこぶる調子がいいような気がする。
山田屋の朝食は、まさにそうした“日本の正しい朝食”。これで1泊4000円とは安いと思いませんか。


ところで、私が宿泊した日は、温泉を集中管理するタンクが故障したとかで、共同浴場の「丑の湯」も含め湯本温泉全部の宿への供給がストップしてしまうという、前代未聞の騒動が起こっていた。山田屋の女将さんは温泉に入れないのは申し訳ないと、宿泊料金を500円おまけして3500円にしてくれた。


その後友人からの電話によれば、4日間も温泉が供給されなかったとのこと。温泉町の集中管理システムは、各宿への温泉の安定供給というのが最大のメリットのはずなのだが…。こんなことしていたら、ただでさえ客足が遠のいているように見える湯本温泉、その将来は大丈夫?